30年度は現地機関の便宜でレンタカーの経費を旅費に活用することによって、8か所の現地調査が可能となった。 愛知県東栄町の「NPOてほへ」は活躍中の和太鼓集団志多らが母体で、指定管理も受けながら、田舎体験・イベントなどで、地域に大きく貢献していた。宮城県栗原市のくりはらツーリズムネットワークは受賞後一般社団法人となり、地域の多様な手仕事を学ぶ小さなイベントで地域に生きる技の存続に大きく貢献しているが、資金難で一部縮小の傾向も見られた。岩手県葛巻町は、葛巻市畜産開発公社が健在で、70人以上の雇用を維持し、イベントでも多くの人を集め、存在価値をますます高めていた。八戸市はマチニワという街中広場をつくり、そこを農村部の文化のプレゼンの活用の場としても機能させた。常呂カーリングクラブは、北見市との合併後、市が過疎債で新しいカーリングホールを常呂に建設、旧常呂町を挙げてのカーリングへの盛り上がりがより高まっていた。新潟県村上市の高根フロンティアクラブは、四季のイベントとそば食道の経営に加え、首都圏のイベントに出店するなど活発な活動が続いていたが、この背後に、明治の旧村以来の広大な共有地の財政基盤があることを確認した。徳島県神山町のNPOグリーンバレーは、活動の安定化の中で理事長が交代したが、国の地方創生政策の実現のために、NPOと町行政が新たに協働の組織をつくり、発展的状況が生まれていた。山口県周防大島町は、生徒の修学旅行の受け入れ、移住者のジャム販売での多くの雇用、道の駅のチャレンジショップなどでも評価できる状況が続いていた。 なお、8月に自治体学会のフォーラムで過疎地域の価値に関する報告を行った。初年度からの調査を総合的に見ると、長期間いい形で活動が継続・発展している事例は、行政や何らかの経済活動との連携がしっかりしているケースが多いことが、浮かび上がってきた。
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