研究課題
基盤研究(C)
本研究では、多文化主義の下で先住民の文学的実践はどのように展開したのか、またそれは今後どのように展開しるのか、その可能性についてメキシコのユカタン・マヤの人々の場合を例として検討した。特に後者の点に関しては、先住民文学の作品を実際に日本語に翻訳出版することで、先住民にとって異文化である日本の読者にどのように読んでもらい、その他者による文学作品の読み方が先住民自身の文学的実践にどのような影響を与えるのか、その可能性について検討した。
文化人類学
本研究はメキシコにおける多文化主義の中での先住民の文学的実践に関する研究であり、社会的還元の最大の対象はメキシコの先住民である。しかし、本研究ではその副産物として、先住民文学を日本語に翻訳し、日本で出版した。それは日本社会における新たな文学の創造であったと言っても過言ではない。実際、その文化的貢献を評価されて、水声社から出版された拙訳『穢れなき太陽』(ソル・ケー・モオ著、2018年)は、2019年に日本翻訳家協会の日本翻訳文化賞特別翻訳賞をした。