研究課題/領域番号 |
16K03221
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
福浦 厚子 滋賀大学, 経済学部, 教授 (90283548)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 寺廟 / 進香 / 祖廟 / シンガポール / 福建省 / トランスナショナリズム |
研究実績の概要 |
2018年度は調査対象寺廟の信奉者らが中国福建省の祖廟へ進香を行ったため、彼ら寺廟の代表者とともに祖廟を訪問した。信奉者らの祖先の大半は祖廟周辺の村落から東南アジアへ渡ってきた人びとである。その移民第一世代から数えて3代目や4代目となっている参加者にとって、祖廟がどのような存在であるのか、祖廟とシンガポールの寺廟との関係性等について、祖廟進香に参加して調査を行った。 この調査から得られたことを中心に2019年2月28日から3月1日にシンガポール国立大学Asian Research Instituteにおいて、Prof. Kenneth Deanによって開催された国際ワークショップ"Chinese Temples in Asia" で発表した。このワークショップへの参加者はシンガポールの道教系寺廟だけでなく、アジア各国の道教や仏教、その他関連する寺院での信仰や諸活動を研究する専門家らであり、それぞれの発表に対して熱心な意見交換が行われた。歴史学や人類学の専門家のほかに、建築学や情報処理の専門家も参加し、アジアに存在する寺院のソフトとハードの両方の情報をどのように共有し、今後の研究に生かすのか、また現在の人とモノに関わる活動がグローバル化した水準にあるなかで寺院の信仰が人びとの生活とどう関わるのか、広い見地から議論した。発表を行った30数名の研究者だけでなく、フロアには関連する専門家が多数参加しており、自由闊達な意見交換が行われ、本研究を進めるうえで有益な知見を得ることができた。今後はここでの意見交換をもとにさらに研究をまとめることにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中心的な課題である祖廟へ向けての信奉者の進香に参加することができ、そこでの調査を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
シンガポールにある調査対象となっている寺廟とその祖廟である中国福建省にある寺廟との関係性や現在の信仰活動の展開についてさらに資料を集め、これまでの研究成果をまとめて国際学会で発表し、さらに意見交換をもとに論文として公刊するように取り組みたい。
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