研究課題/領域番号 |
16K03229
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
石本 敏也 聖徳大学, 文学部, 准教授 (00406745)
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研究分担者 |
及川 高 沖縄国際大学, 総合文化学部, 講師 (60728442)
渡部 圭一 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 学芸技師 (80454081)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 継承 / 民俗文化 / コスト |
研究実績の概要 |
本研究は、民俗文化を当事者に種々の負担を強いるコストとして把握し、そのコストとモチベーションという観点から実態を捉え直すと共に、その調整過程を明らかにしようとするものである。対象地域は、東北、関東、中部、近畿と広く設定し、その事例も民俗文化財や世界遺産として登録された内容をも含み、民俗学・宗教学・歴史学の知見を生かし横断的な解明を試みる。継承された民俗文化の再評価については、文化資源や観光の文脈で注目されてきた視角であるが、それが時に当事者にとっては重い負担となることは従来重視されてきたとは言いがたい。本研究は、まずは民俗文化が当事者においてこうした重いコストであり得ることを改めて強調し、その上でコストを引き受けることの有意性を明らかにし、民俗文化の再評価における新たな知見を加えようとするものである。 本年度は二回の打ち合わせ会議、研究会を開催し、設定した対象地域内における民俗文化の実態とそのコストについての意見交換を行うと共に、コストを核に据えた研究方法の深化と課題について討論した。また、メンバー各自の調査地域における基礎的な作業を開始し、関連する資料の発掘・蓄積を行うと共に、年度末に行った報告会を経てメンバー内の情報の共有を行った。この報告会をもとに、次年度では個々の発表を中心とした公表を予定している。今年度の成果として、学術雑誌に民俗文化の継承を元とした研究論文を寄稿し、特に農業の機械化以降における藁不足下のなかの藁制祭具の継承に関する新たな知見を学会に提供することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
民俗文化の継承について、当該研究の視角に基づいた調査研究が十分に進展しなかった点は最大の課題である。しかし、この点は本研究の視角について分担研究者も含めて改めて議論を重ね、再度整理・共有を行ったがゆえであり、次年度はより精度の高い調査研究が可能になるものと期待している。また、研究視角の精度を高めることにより、該当する新たな事例の発掘も可能になった。この点については、まずは研究協力者の随時追加により教示を得るとともに、特に次年度に予定している個々の発表を中心とした該当事例の比較や分析を積み重ね研究を遂行していく。
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今後の研究の推進方策 |
特に大きな変更はないが、研究視角の深化による該当事例の新たな発掘について、その整理と調査研究の遂行のため研究協力者の充実とその公表を考えていく必要がある。すなわち、研究が進むにつれ得られた実際の調査資料と新たな課題について、当初の計画を鑑みる作業を並行しながら研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用機材の関係で若干残額が出たが、ほぼ計画通りの使用額である。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度通り、次年度もほぼ計画通り遂行する。
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