研究課題/領域番号 |
16K03233
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
石井 洋子 聖心女子大学, 文学部, 准教授 (30431969)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 頭脳流出 / ケニア / ギクユ / アメリカ / 高技能者 |
研究実績の概要 |
本研究は、急増するアフリカ人の国際移動という現象に直面し、「頭脳流出」という問題が指摘されるようになった事に対して、その実態を人類学的フィールドワークで明らかにすることを目的としている。従来の政策では、流出した高技能者を母国へ戻すことを奨励してきたが、それも一筋縄ではいかない。つまり、多額の送金を行う移民の生活と、現地の大多数の住民の生活のあり方は乖離しており、高技能が母国で生かされないという問題も生じているのである。 そもそも、流出した「頭脳」とは移住先で子供を育て、働く人間であり、その帰還政策は彼(女)らの人生計画と折り合わない場合が多い。本研究では、筆者が2015年以来、米国で収集しつつあるケニア共和国出身のギクユ人移民の調査データを基に、その知識が母国ケニアの未来と交差する可能性を見極め、頭脳流出という現代的問題に人類学的に取り組むことにある。 こうした目的を受け、平成29年度は、在米ケニア人(ギクユ人)移民と母国ケニアとの関係について、引き続き調査を行った。予定していたケニア調査(8月から9月)は、家族の不幸によって実施できなかったが、6月には国際開発学会で発表を行い、11月にアメリカ・シカゴのAfrican Studies Association(世界最大のアフリカ国際学会)で発表をし、シカゴ(イリノイ州)およびボルチモア(メリーランド州)でフィールドワークも実施する事ができた。研究論文として「『過去』と『未来』を生きる人びとー在米ケニア・ギクユ人移民の仕事をとおして」『アフリカレポート』(アジア経済研究所、2017年 55号)も執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、予定どおり国際開発学会(関西学院大学)およびAfrican Studies Association(米国・シカゴ)にて学会発表を行うことができた。そこで活発な意見交換をすることができたと同時に、未発表の英語論文を配布したうえで、フィールドワークの着想も得ることができた。11月に実施したシカゴおよびボルチモアでのギクユ人移民を対象としたフィールドワークでは、グループディスカッションを組織することができたと同時に、ケニア人女性を助ける相互扶助グループのリーダーへのインタビューを行い、女性ネットワークの様子を詳細に知る事ができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は本研究課題の最終年度であるため、追加調査をすると同時に、研究の総まとめとして論文の執筆に全力を尽くす予定である。このテーマについて、本研究課題の期間中に国内外の学会で計4回の口頭発表を行ったので、そこで得た意見をいかしてまとめ合わせて行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
アジア経済研究所の研究費を使用してフィールドワークを実施することができたため、当初予定していた調査費に変更が生じたから。
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