研究課題/領域番号 |
16K03236
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
石森 大知 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (90594804)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バハーイー教 / マイノリティ / 宗教共生 / 信仰生活 / 改宗 / ソロモン諸島 |
研究実績の概要 |
年度のはじめより、昨年度の実地調査において収集した資料の整理・分析をおこなうとともに、バハーイー教徒の「改宗過程」と「信仰生活」に関する基礎的資料および文献の検討を実施し、調査項目等の精緻化をおこなった。 8月には、ソロモン諸島の首都ホニアラおよび村落部において実地調査を実施した。まず「改宗過程」についてであるが、当初、ソロモン諸島の人々はバハーイー教の教義的側面にはあまり興味を示さなかった一方、宣教師(パイオニア)の平等主義的な態度に強い関心を示したことがわかった。その傾向は少なくとも1978年の国家独立まで続いたようであり、バハーイー教への改宗が一種の反西洋人・反植民地主義的な社会運動という側面をもつことがわかった。実際にバハーイー教徒のなかにはかつての運動参加者およびその子孫が多いことも明らかになっている。土着主義的な社会運動とバハーイー教の関係性については引き続き次年度も多角的に調査・研究を続ける予定である。一方、「信仰生活」についてである。村落部のバハーイー教徒がおこなう諸儀礼の調査から、その内容面・形式面に関して、バハーイー教の本部があるイスラエル・ハイファからの指示に可能な限り従うものであることがわかった。加えて、個々人の改宗譚および信仰を聞き出すとともに、そこに反キリスト教的価値観が表明されていることも明らかとなった。 帰国後、9月から1月にかけて収集した資料の整理・分析をおこなった。その過程で、バハーイー教と伝統的信仰のつながりや、バハーイー教における共生および平和の観念、バハーイー教徒とキリスト教徒との関係性などについてまだ不明な点が多々あることをあぶりだした。これらについては次年度の調査・研究の課題としたい。また、2月から3月にかけて関連する学会発表準備もあわせておこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究の目的」「研究実施計画」の通りに、文献研究およびソロモン諸島における資料収集・分析が進んでおり、ほぼ当初の計画に沿う形で研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに実施した調査・研究において収集した資料を整理・考察すると同時に、研究成果を積極的に公表するため、学術論文の執筆を進める。また、宗教共生と関連するテーマで学会発表を予定しており、そのフィードバックも得ながら、研究をさらに進展させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
29年度中に支払う予定であった研究大会参加費の支払いが次年度となったことに加え、一部の文献資料の入荷が29年度中には間に合わない見通しであったため、次年度使用額が発生した。とはいえ、これらは当初の使用計画を損なうものではなく、30年度の使用計画は予定通り執行することが可能である。
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