研究課題/領域番号 |
16K03242
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
中山 紀子 中部大学, 国際関係学部, 教授 (00288698)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | イスラーム / 女性 / 農村 / 世俗主義 / スカーフ |
研究実績の概要 |
当科研課題の「越境するトルコ農村女性の民族誌」に大きく関わる私自身の著書『イスラームの性と俗ートルコ農村女性の民族誌』(アカデミア出版会、1999年)を現在トルコ語に訳してもらっている。訳者は日本の熊本で農村調査をした経験をもつトルコ人の社会学者である。昨年日本に来た彼とトルコ語訳について打ち合わせをしたが、現在のトルコの状況を理解するのに私の本は有効だと評価してくれた。20年前に行なった調査であるが、トルコ語に訳す価値を認識できた。彼は、このトルコ語訳が出版される際にはこの本が訳される意義について解説を書くことを快諾してくれた。打ち合わせ後、このトルコ語訳を日本人のトルコ言語学者とともに綿密な校正を行なっている。 同時に、2017年度に出版した論文「テセッテュル(tesettur)とヒジャブ(hijab)についての覚書き」を英語に訳した。この論文はトルコ語訳を行っている上記の『イスラームの性と俗』のいわば延長線上にある。一見「宗教的」にみえるスカーフが実は「政治的」な問題であったが、20年後の現在では「政治的」よりも「商業化」「商品化」と考えられるようになった。この論文は、トルコにおける日本研究の中心的学術機関の雑誌に掲載することを検討している。 調査地の村出身の女性たちと、断食祭、犠牲祭など年中行事でのあいさつ、また結婚や出産などの人生儀礼に際してのお祝いなどを中心にコンタクトをとり、人間関係を継続しながら調査の準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当科研の初年度である2016年はトルコでの治安状況が悪化しており、当初計画していたトルコへの渡航を見合わせることになった。しかしながら、当科研課題に大きく関わる、これまで蓄積してきたデータの整理、同じテーマの通時的な研究論文執筆、著作物のトルコ語訳や英語訳への着手などが可能になり、研究は深化、発展したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は著作物のトルコ語訳を訳者本人と打ち合わせをしながら引き続き続行するとともに、トルコでの治安状況が落ち着いてきたため、これまで控えていたトルコやドイツでの現地調査を十分行うことができる。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度である2016年に調査に行く予定であったトルコの治安情勢が悪化したため、現地調査を見合わせた。治安は徐々に回復しつつあるので、これまで控えてきたトルコやドイツでの現地調査が可能になる。そのため繰越額は旅費として使用予定である。
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