研究課題/領域番号 |
16K03246
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
友永 雄吾 龍谷大学, 国際学部, 准教授 (60622058)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 先住民 / 伝統知 / 近代知 |
研究実績の概要 |
2017年度は以下のことを実施した。 2017年4月23日にAnthropology of Japan in Japan Spring Workshop 2017にて発表した。 また、10月15日にInternational Workshop: Rethinking Interaction between Indigenous Traditional Knowledge and Modern Knowledgeを報告者が所属する龍谷大学にて開催した。このInternational Workshopには、オーストラリアからジェームズクック大学の先住民研究者と先住民コミュニティ・ワーカー、さらに台湾原住民の研究者、アイヌ民族の活動家、沖縄の琉球民族で経済学者を招聘した。さらに、ディスカッサントとして東京大学の教授、大阪経済法科大学の名誉教授、広島大学の助教を招き本ワークショップの報告者に対する議論をお願いした。 さらに、2018年3月21日にニュージーランドのオタゴ大学にて開催されたInternational Workshop: Global Migrationsにて先住民と移民との関係に注目した発表をした。さらに、2018年3月にInternational Workshopの報告書と、共著『考えたくなる人権教育キーコンセプト』(「先住民と自己決定権」を担当)を出版した。さらにJournal of Water Resource and Protectionに共著論文を掲載した。 今後の研究を更に展開するために、平成29年度国際共同研究加速基金に応募し採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学会やワークショップでの発表は、①2018年4月にAnthropology of Japan in Japan Spring Workshop 2017にてTwo Way Collaborative Management Approaches for Conserving River Quality in Japan and Australiaを発表した。また、②10月にInternational Workshop: Rethinking Interaction between Indigenous Traditional Knowledge and Modern Knowledgeを龍谷大学にて開催し Sustainable Collaborative Management of Natural Resources in Japan and Australiaと題する発表をおこなった。さらに、③2018年3月にニュージーランドのオタゴ大学で開催されたInternational Workshop: Global MigrationsにてInweaving indigenous and immigrant histories in Australiaと題する発表をした。 論文は、①2018年3月にInternational Workshop Proceedings: Rethinking Interaction between Indigenous Traditional Knowledge and Modern Knowledgeと、②共著『考えたくなる人権教育キーコンセプト』に所収の「先住民と自己決定権」を発表した。さらに③Journal of Water Resource and Protectionに共著論文Study on Sustainable Water Resource Conservation:Toward Deepening of Homo Environmenticsを掲載した。 今後の研究を更に展開するために、国際共同研究加速基金に応募し採択された。
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今後の研究の推進方策 |
今後のさらなる研究の展開として、オーストラリア国立大学文学とメルボルン大学さらにジェームズクック大学を研究拠点に、先ず、昨年度まとめた報告書をベースに日本語と英語で協調を出版する。また、これらの機関が「環境」、「教育」、「芸術」に注目して実施する「伝統知」と「近代知」の相互作用に関するプログラムについて調査する。 そのためにはまず、①オーストラリア国立大学では、2008年からオーストラリア南東部の国立公園で実施してきた先住民族と非先住民族との協同による環境管理の状況を把握する。本調査は、GISシステムを活用した河川流域の管理であったが2012年をもって終了している。このため本研究では、こうした伝統の喪失が著しく進む南東部の先住民族集団の現状を把握することで、「環境」を管理する際の知の相互作用について提示する。この調査に加えて、報告者が2005年からフィールドワークを継続するヴィクトリア州の先住民族集団が展開する森と河川流域の環境管理について継続調査する。次いで、②メルボルン大学では、当該研究所に設置された先住民族芸術を扱うWillinセンターの活動について同センター講師らが展開するオペラや舞台演劇、さらには映画などのビジュアル・アートを先住民族の口頭伝承と融合させ実施するプロジェクトについて調査する。最後に、③ジェームズクック大学では、2016年度からアボリジナル及びトレス海峡諸島民研究センターの教授らが2009年から国会図書館と共同で実施する、植民地期以降の先住民族に関する資料アーカイブ化の現状について調査する。 上述の「環境」、「芸術」、「教育」に関するオーストラリア先住民族の「伝統知」と「近代知」との相互作用に注目することで、これまでにオーストラリア先住民族が言葉や形に表せない経験を受け継ぐことに関する「継承学」という新たな分野の開拓を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際会議の報告書を作成する際に充てる予算であったが、帰属する大学の助成金が取れたので、それを充当したため、次年度使用額が生じた。
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