研究課題/領域番号 |
16K03248
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研究機関 | 北海道博物館 |
研究代表者 |
會田 理人 北海道博物館, 研究部, 学芸員 (20370223)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 民俗学 / 歴史学 / 海女 / 出稼ぎ漁 / 磯まわり資源 |
研究実績の概要 |
本研究は、明治期から昭和戦前期の北海道利尻島・礼文島、松前小島における海女の活動に焦点を当てて、海女出稼ぎ漁の歴史、および海女の道具・技術、さらには海女が採取した海産物の流通・利用、資源保全の実態などを、歴史学・民俗学の双方向から調査・分析を行う。その上で、北海道における海女出稼ぎ漁の歴史を明らかにするとともに、磯まわり資源の保全を取り巻く様々な環境の変化と、こうした状況への対応を考察することを目的としている。 令和元年度は、大正初期に利尻島・礼文島沿岸で実施されたアワビ貝移殖事業に関する報告書(『利尻郡鬼脇村仙法志村鮑移殖復命書』(1913年ほか)、北海道立総合研究機構水産研究本部中央水産試験場専門図書館所蔵)に基づき、1913(大正2)年から1918(大正7)年にかけて実施された同事業の詳細を検討した。これにより、三重県志摩地方出身で当時利尻島在住の海女が同事業に雇われたこと、彼女たちによって、移殖すべき「種アワビ」の採取が北海道増毛沖や積丹半島沖などで実施されたこと、「種アワビ」が利尻・礼文島沿岸域へ移殖されたことを明らかにした。 また、大正期から昭和戦前期の『小樽新聞』、『樺太日日新聞』に掲載された磯まわり資源に関する記事を収集・整理するとともに、記事内容のデータベース化を行った。新聞資料調査から、明治期から大正期の北海道日本海沿岸地域、樺太亜庭湾沿岸地域における採取物の種類や採取期ごとの漁況、採取物を加工した商品の流通・販売、道内外の商況など、海女出稼ぎ漁を取り巻く環境を検討する作業を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和元年度は、研究代表者が勤務する博物館における業務が予想以上に錯綜していたこともあり、当初に予定していた本州方面および北海道内における現地調査を十分に実施することができなかった。以上の理由により、現在までの進捗状況は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、現地調査等の研究の実施期間を十分に確保するとともに、これまでの計画で実施できなかった調査については適宜修正を行い、調査を実施することで研究を推進させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 令和元年度当初に計画していた北海道・本州方面での現地調査を十分に実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 発生した次年度使用額は、当初の計画では主に現地調査を実施するための旅費・研究補助費である。令和2年度においては、現地調査の期間を十分に確保するとともに、研究計画を一部修正して、計画通りに研究を推進する予定である。
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