今日のわれわれが,Law Dictionaryや英米法辞典等を通して日常読み親しんでいる法律用語の相当多くが,実は『イングランド法釈義』をはじめとする権威的法典籍の記述とほぼ同じであり,今日では「古典」として遠ざけられることの多い権威的法典籍が,多くは気付かれぬままに,実は近・現代の法学・法実務の基礎としていまだに生き,影響を与えている事実を例証しえたと思料される。そしてこのことは,本研究が行ったような地道な手作業によらない限り,おそらく決して明確に表面化しないだけでなく,このまま放置していては,上記「不可視化傾向」によってますます見えにくくなる事実である。
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