本研究においては、イスラーム法において第2法源とされるハディース(預言者伝承)が、法学説の発展と密接な関係を持ちながら書き換えられていった過程を、法学ハディースと、スンナ派、特にシャーフィイー派の学説とを比較対照しながら辿った。その際に取り上げた法学ハディースは、礼拝前の洗浄用の水、旅行中の断食、敵による妨害や病気を理由とする巡礼の履行不能、女性の婚姻後見、リバー(利息)の禁止則、証拠法をめぐるハディースと、いわゆるメディナ憲章に由来するハディースである。また、口伝者数や異本数の増大を統計的に考察した。
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