研究課題/領域番号 |
16K03270
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
高 友希子 法政大学, 法学部, 教授 (40454962)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エクイティ / ユース / 信託 / law-making |
研究実績の概要 |
大法官府裁判所の理念についての研究に区切りがついたので、現実の部分に移行し大法官府裁判所における判例の検討を進めたが、大法官府裁判所/エクイティの側からのアプローチでは不十分かつ限界があることが明白になったため、信託の前身であるユースをめぐるコモン・ロー裁判所の対応に焦点を絞り、土地の権原/権限の在り方について検討を進めた。 ユース法によって、従来、ユース受益者が有していたエクイティ上の不動産権が原則としてコモン・ロー上の不動産権に転換され、その結果、受益者がコモン・ロー上の権利者となることで、受益者の死に際して国王が相続料を求めることができるようになったように、国王は制定法を通じて自らの目的を達した。その一方で、同法はその効力が及ばないユースを残すこととなった。そのうちの一部は大法官府裁判所が対処して現在の信託に至るが、エクイティ上の権利でしかなかったユース受益権をコモン・ロー上の権利に転換させたことにより、コモン・ロー上の将来権として新たな権利も発生した。この新たに発生したコモン・ロー上の将来権に対するコモン・ロー裁判所の対応について判例を中心に検討を進めた。 ユース法はコモン・ローだけでなく、イングランドにおける土地法全体が根底から揺るがした。大法官府裁判所における慣習を制定法が上書きした事実、すなわち、慣習、判例、制定法といった様々な形式によって、ユースをめぐる新たなルールが形成されていく過程を整理することを通じて、絶対王政期における国王と法の関係について検討を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ・ウィルス感染症の拡大により、オンライン授業の準備に加えて家庭保育をする必要に迫られ、予定していた調査・検討を終えることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していたコモン・ロー裁判所における事例の調査・検討を引き続き進めて行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)新型コロナ・ウィルス感染症の拡大により、オンライン授業の準備に加えて家庭保育をする必要に迫られ、十分な研究時間を確保することが難しかった。 (使用計画)過年度にやり残した調査を積極的に進め、論文にまとめる作業に入る。
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