研究課題/領域番号 |
16K03272
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
田中 実 南山大学, 法学部, 教授 (60217081)
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研究分担者 |
伊藤 司 南山大学, 法学部, 教授 (70223162)
佐々木 健 京都大学, 法学研究科, 准教授 (70437185)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ローマ法 / 相続 / 立法 / 解釈 |
研究実績の概要 |
相続法と相続法学について、我が国の民法典編纂にも影響を与えた、古代から近世に至る広義の「ローマ法」も素材としつつ、条件付遺言がどのように理解されてきたかを検討する作業を継続している。 その成果として、古代ローマについては研究分担者の単著で一章を割いて、遺言書を補完する相続人と、相続人を義務者とする遺贈の受遺者による請求との対立を解決する方策を論じた。加えて雑誌論文でも農場相続事例を詳細に分析し対象となる地所が相続に際して分割され又は共有に陥った後も、規模の経済を継続させるべく事業が一体的に隔年で交互に営まれる姿を描いた上で、先行研究の問題点を対比して相続法制全般に関わる議論の出発点となる立論を展開した。 中世普通法学に関しては、研究代表者が相続の前提となる占有理解に関する雑誌論文で検討を加えた。その際、国際法学に寄与の大きいとされる著作がローマ法源及びギリシア語著作を前提に論を展開している点を重視し、法文解釈が出発点となっていることを明確化した。議論の中心は有事・戦時における占有の侵奪・回復ではあるが、翻って相続を巡る対立においても同様の論争が当事者間で交わされることは明白であり、往時の法学の一端から相続法(学)に繋げる構想の一部をなす。 また、相続立法の重層性を綿密に検討する書籍を精読する研究会を数次にわたり開催し、国際学会で二本の研究発表を関連して行なった上で、参加し聴講したその他の研究報告に際して質疑応答から論点を深化させ議論を交わした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、雑誌論文を中心に成果を公表すると共に、定期的に開催している研究会で検討を深めている。 また、国際学会など内外で研究報告を行ない、学界との接点を保ちつつ、多くの研究者と対話・意見交換を続けている。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には前年度までの作業を継続する。 加えて、判例学説の相続関連解釈技法についても成果を発表予定である。
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