古代から近現代に至るヨーロッパの歴史には、相続、特に遺言が法制度を動かし、またそうした相続法制が人々の生活を規定した、という循環が見られる。 この点について、それが「ローマ法」との格闘によって得られた側面に注目し、研究を継続してきた。 研究代表者(田中)は、昨年度以前からのローマ相続法基本文献講読を研究分担者と引き続き行い、中世におけるローマ法源の受容に関する研究報告をドイツ語で行うと共に、遺贈の請求に関する論文、及び遺言無効に関する論文を執筆した。 研究分担者(伊藤)は、研究代表者と日常的に対話を交わしつつ、遺贈・遺言について欧米の研究を踏まえ検討を進めた。 研究分担者(佐々木)は、海外や日本で外国語で行った研究発表に対し寄せられた各国の学者による論評を踏まえ、ローマ相続法と日本法の交錯に関する事案を扱う英語論文を執筆した(但し、公刊が遅れている)。
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