本研究は、中国の地方における障害者の権利保障法制の形成に焦点を当てる。具体的には、障害者権利条約の核心である差別禁止ならびに重要分野である教育および労働の諸規定を基準に、地方政府が制定する地方性法規を分析し、中国における障害者の権利実現の課題を探った。法律や条例の下位にある地方政府による地方性法規や業界・分野ごとの規範や標準が先行して、障害者権利条約とともに、上位法の形成に影響している事例が確認された。一方、権利内容が障害者にとって実際に意味を持つためには、障害者権利条約が基本精神として謳っている、障害当事者の中央・地方の政策立案・立法過程への参画が求められていることが課題の一つとなっている。
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