研究実績の概要 |
研究計画に従って,次の3つの作業を同時並行的に進めました。 (あ)国際的フォーラムの動向の巨視的分析。OECD/G20のBEPSプロジェクトのもたらす影響につき,各国の専門家との共同研究を継続しました。2018年4月には台北で,The 5th IFA Asia Pacific Conferenceの「Future of Capital Market in Asia」のセッションにパネルとして出席し,仮想通貨(暗号資産)が租税制度の執行に投げかける新しい問題について意見交換しました。 (い)租税条約上の制度の個別的分析。租税条約に関する逐条解説の国際プロジェクトの成果として,「Article 22: Capital」 in IBFD, Global Tax Treaty Commentaries (IBFD, online, 2018.04)を完成し,オンラインで公表しました。また,「実現原則と国外転出時課税制度」日税研論集74号81-122頁(2018.09)においても,租税条約の譲渡収益条項と国内法との関係を検討しています。 (う)国内法上の制度の横断的分析。論文「納税者情報の公開」金子宏=中里実編『租税法と民法』581-599頁(有斐閣2018.11)を公表し,実質的支配者情報をめぐるマネロン規制・登記制度・租税制度の交錯や,多国籍企業の国別報告書に関する情報公開論が生じてきた背景,納税者の申告情報の公開に関する各国立法政策の分岐点と日本の経験の評価,について意見を述べました。
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