研究課題/領域番号 |
16K03283
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
只野 雅人 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (90258278)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 代表民主政 / 統治 / 民意 / 対抗 / 議会 / 選挙 / 政党 |
研究実績の概要 |
多様性の代表、立法、政官関係など、研究代表者のこれまでの研究成果を基盤に、選挙・権力の信任という側面と同時に、それに対する制度的非制度的回路を通じた様々な対抗という側面に着目し、両者の相互作用という視点から民主主義の実質を形成するための基礎理論の構築を目指すことが、本研究の目的である。 初年度(平成28年度)は、基礎的な資料の収集・分析を行うと共に、これまで蓄積してきた研究成果に基づき、成果発表を行った。本年度(平成29年度)は、初年度の成果をふまえ、論点・主題を析出し可能な部分から試論的な論文の執筆にも着手した。日仏両国で選挙があったことから、基礎理論だけでなく、民主政の現状分析も行った。基礎理論に関するものとしては、「議会と一般意思-シィエスの立法府構想を手がかりに」阪口正二郎・江島晶子・只野雅人・今野健一編『憲法の思想と発展』(信山社、2017年)519-538頁、「政治過程における民意の制度化-代表・統治・対抗-」公法研究79号(2017年)1-24頁、「選挙と代表・正統性」辻村みよ子・長谷部恭男・石川健治・愛敬浩二編『「国家と法」の主要問題』(日本評論社、2018年3月)265-277頁を公刊した。また現状分析としては「議会制民主主義の『危機』?-日本の議会制民主主義の『今』を考える」法学セミナー755号(2017年12月号)6-11頁を公刊し、さらにフランスの選挙を主題とした論文が平成30年度5月に公刊される予定である。 そのほか、平成30年3月には、広島で開催された日仏公法セミナーでフランス語による報告を行うとともに、日仏の参加者と意見交換を行った。また同月、フランスに出張し、フランスの政治学者・憲法学者らと、日仏の民主主義の現状について意見交換を行う機会を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、初年度(平成28年度)の成果をふまえ、論点・主題を析出するとともに、日仏の選挙をふまえた民主政の分析を進め、可能な部分から研究成果の公表を行った。国際シンポジウムでの報告(フランス語)の他、フランスの研究者との交流もおこなっている。 予定通りの成果を上げることができた(論文4本、国際シンポジウムでの報告(フランス語)1本)。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度においては、文献・資料の収集を継続するとともに、論点・課題の析出をすすめる。議会制度、選挙のほか、政党、参加民主主義、デモなど、代表民主政の実質に関わる諸問題について、検討を進めてゆく。2017年に日仏で選挙があったことから、両国の代表民主政の現状分析に力点を置く予定である。分析が進んだ分野については、試論の公刊を行ってゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内の会計処理が間に合わなかった資料(海外発注)があり、残額が生じた。資料は到着しており、残額についてはすでに執行を依頼済みである。
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