裁判員制度を合憲とする平成23年の最高裁判決は,国民主権原理を民主主義原理と同じ内容と理解したうえで,この2つの原理から裁判員制度は許容される,立法政策上の制度だと理解した。しかし,平成23年の最高裁判決は,裁判員の職務が辞退可能であって,憲法18条後段が禁止する「意に反する苦役」に該当しないことを説くあまり,国民の司法参加を強制することで成立する裁判員制度の必要性・合理性があまり高度なものではないことを暗に肯定するものとなっている。裁判員制度の定着を議論する前に,改めてその立法政策上の妥当性を再検討すべきである。
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