研究課題/領域番号 |
16K03297
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
宇那木 正寛 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (90747651)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 行政の義務履行確保 / 行政上の強制執行 / 行政代執行法 / 略式代執行 / 即時強制 |
研究実績の概要 |
本研究においては、現代の多様 な行政ニーズに応じて、国民の生命財産を保全するといった観点から現実に行われた行政代執行を廃棄物行政、河川・港湾行政、都市計画行政などの分野ごとに、実証的分析を行うとともに、代執行制度を効果的かつ効率的に運用するための提言を行うことを目的とするものである。 初年度である平成28年度、鹿児島県が行った急傾斜地法に基づく崩落斜面の応急工事の 緊急代執行についての訪問調査を行った。その後も、岡山市が行った廃棄物処理法に基づく硫酸ピッチ撤去の代執行、三原市が行った建築基準法に基づく廃屋に対する除却の代執行や広島県が行った河川法に基づく違法桟橋に対する除却の代執行、港湾法に基づく放置艇の撤去・移動の代執行などについての訪問調査を行った。平成29年度は、神戸市の行った港湾法に基づく放置艇等の撤去・移動の代執行について2度にわたる訪問調査を実施した。平成30年度は、福岡県が行った土地収用法に基づく土地明渡しの代執行、神戸市が行った略式代執行による放置艇等の撤去、東京都板橋区および新潟県柏崎市が行った空家法に基づく特定空家等の除却の代執行、横須賀市が行ったゴミ屋敷対策条例に基づく廃棄物撤去の代執行について、それぞれ代執行を実施した行政庁を訪問し、ヒアリング調査を行った。令和元年度は、ゴミ屋敷対策条例による代執行終了後の対応等に関し、再度横須賀市への調査を実施した。さらに、代執行実施状況について、出版社ぎょうせい、第一法規株式会社の編集部を訪問する等して情報収集を行った。令和2年度は、空家対策法に基づく行政代執行を行った熊本市に対し、訪問調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、現実に行われた行政代執行の実証的研究により行政代執行の運用上の課題を明らかにし、効率的かつ効果的な制度運用について提言を行うことを目的とするものである。 実証的研究に当たっては、行政代執行の実績を有し、かつ、調査について積極的協力を得られる行政庁を見つけ出すことが必要であるが、これ自体、容易ではない。この点に関し、特に令和2年度は、新型コロナウイルス感染症が蔓延したため、予定していた行政庁の調査協力がえられなかった。そのため「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、新型コロナ感染症対策で県外へ出張しての調査が困難であった。また、予定していた行政庁の調査協力がえられなかった。これらの事情により、補助事業期間を延長したが、令和3年度においては、残りの事業を全て実施できるるよう努力したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症が全国に蔓延したため、県外への出張ができず、予定していた事業のうち一部しか実施できなかった。これにより次年度使用額が生じたものである。現時点では、新型コロナウイルスの感染状況の見通しがつかない状況ではあるが、京都市など調査先の行政庁との事前協議を通じて、適切な時期を見定め、残りの事業を実施する計画である。
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