本研究においては、現代の多様 な行政ニーズに応じて、国民の生命財産を保全するといった観点から現実に行われた行政代執行を廃棄物行政、河川・港湾行政、都市計画行政などの分野ごとに、現実に執行された行政代執行(即時執行を含む)に対する実証的分析を通じて代執行制度を効果的かつ効率的に運用するための提言を行うことを目的とするものである。 初年度である平成28年度、岡山市が行った廃棄物処理法に基づく硫酸ピッチ撤去の代執行、三原市が行った建築基準法に基づく廃屋に対する除却の代執行や広島県が行った河川法に基づく違法桟橋に対する除却の代執行、港湾法に基づく放置艇の撤去・移動の代執行などについてのヒアリング調査を行った。平成29年度は、神戸市の行った港湾法に基づく放置艇等の撤去・移動の代執行について2度にわたるヒアリング調査を実施した。平成30年度は、福岡県が行った土地収用法に基づく土地明渡しの代執行、神戸市が行った略式代執行による放置艇等の撤去、東京都板橋区および新潟県柏崎市が行った空家法に基づく特定空家等の除却の代執行、横須賀市が行ったゴミ屋敷対策条例に基づく廃棄物撤去の代執行について、それぞれ代執行を実施した行政庁に対するヒアリング調査を実施した。令和元年度は、ゴミ屋敷対策条例による代執行終了後の対応等に関し、再度横須賀市に対するヒアリング調査を実施した。令和2年度は、空家対策法に基づく行政代執行を行った熊本市に対し、訪問調査を行った。最終年度である令和3年度は、空家対策条例に基づき実施された即時執行による空家の買いたいを行った山武市、道路法に基づく建物の除却を行った宝塚市、ごみ屋敷対策条例により行政代執行を実施した蒲郡市に対するヒアリング調査それぞれを実施した。
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