研究課題/領域番号 |
16K03298
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
横大道 聡 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (40452924)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 憲法解釈 / 制度設計 / 先例 / 政府の憲法解釈 |
研究実績の概要 |
平成28、29年度は、憲法をいかに制度設計するのか、どのような制度設計であれば議会や執行府による憲法解釈が実際の憲法秩序に影響を与えるようになるのか、といった考察を行ったが、本年度もそれに引き続く研究として、「どのような憲法典を作るのか」法学教室454号、「どのように憲法を守るのか」法学教室455号、「なぜ人権を憲法で保障するのか」法学教室460号、「憲法のデザイン」憲法理論研究会編『岐路に立つ立憲主義』(敬文堂)などを公表した。 次に、本研究テーマにとって興味深い事例に事欠かないアメリカ合衆国において、どのような議論がなされているのかを整理し、現状の批判的分析を加えた「アメリカ合衆国における政府の憲法解釈」を国立国会図書館のレファレンス誌に公表した。 第三に、日本における「政府の憲法解釈」と議会との関係を論じる前提となる、憲法解釈に関する先例がどのように扱われているのか、そもそも何をもって「先例」と位置づけるのかなどといった論点について、「内閣と先例――憲法解釈を中心に」と題する報告を日本公法学会にて行った。 第四に、日本の憲法学が主要比較対象国としている国以外がどのようにこの問題を扱っているかについて、アイルランドのダブリン大学のオレン・ドイル先生から直接話を伺うとともに、彼の論文を邦訳し、法学セミナー767号に掲載した。 以上、本年度の研究により、憲法の規範力を担保するための制度設計段階での考慮要素や、具体的に憲法秩序が駆動し始めた後、憲法解釈をめぐり三権がどのような相互関係のもとで動いていくのか、そして、過去の憲法解釈が現在の憲法解釈に対してもたらす意義など、多角的な方向から本テーマにアプローチすることができ、研究も進展した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の通り、本年度も本研究の問題についての多角的な考察を進めることができ、その意味での研究の進展は大きく進んだ。そのため、「おおむね順調に進展している」でもよかったが、海外調査が先方との日程調整がうまくいかずに延期になったことを踏まえて、「やや遅れている」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も、昨年、一昨年度の研究で得た多角的分析視角からの研究成果を順次公表する。また、議会に直接に焦点を当てた憲法解釈についての研究をさらに進めるため、海外調査に赴くことに加えて、有識者へのインタビュー調査なども精力的におこない、必要経費を計画的に執行していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた海外調査ができなかった。その分の額を次年度使用額とした。
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