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2016 年度 実施状況報告書

熟議民主政構築に向けた人権保障と違憲審査制のあり方

研究課題

研究課題/領域番号 16K03299
研究機関國學院大學

研究代表者

平地 秀哉  國學院大學, 法学部, 教授 (70339662)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード憲法学 / 表現の自由 / パブリック・フォーラム
研究実績の概要

本年度は、研究目的の一つである、「表現の自由を中心とする精神的自由の解釈」を中心に研究を行った。本来、本年度はアメリカにおける熟議民主政と違憲審査制に関する理論動向の調査分析を予定していたが、日本国内において、表現の自由にかかわる様々な事件や裁判例が多くみられたことを受けて、日本の問題状況に即した表現の自由解釈のあり方を探求することとした。
とりわけ本年度は、表現の自由を行使する「場」についての研究を行った。すなわち、熟議民主政を構築するためには、市民が投票時だけでなく、日常的に政治的問題について自由に意見を交換し、自らの政治的意見を形成する機会や場所の確立が不可欠であるが、こうした熟議民主政における表現の「場」を確保するための議論として、従来から憲法学で議論されてきたパブリック・フォーラム論の可能性を探求した。
具体的には、パブリック・フォーラム論に対し、理論と実践の両面からのアプローチを試みた。まず、理論的に、パブリック・フォーラム論の課題を認識したうえで、こうした課題はパブリック・フォーラム論を言論の自由をベースに理解するが故に生ずるものであり、パブリック・フォーラム論を集会の自由をベースにして理解することによりその課題を回避または克服する可能性を示した。また、実践的には、市役所前の広場における表現活動の制限が問題となった平成28年の裁判例が、パブリック・フォーラム論を正面から論じていることに着目し、判決の論理を批判的に検討するなかで、パブリック・フォーラム論の実践的可能性を測ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は、表現の自由という個別の人権に着目した各論的研究に終始したため、熟議民主政と違憲審査制の関係それ自体に関する国内外の理論的状況について必ずしも十分にフォローできているとは言い難い結果となった。

今後の研究の推進方策

平成29年度は、今年度の各論的研究の成果を維持しつつ、本来平成28年度に行う予定であった、熟議民主政と違憲審査制の関係に関するアメリカ合衆国を中心とする諸外国の最新の理論状況を十分に精査することに努め、本研究課題の土台を構築することに優先的に取り組むこととする。その成果が十分に得られたならば、早ければ平成29年度中に表現の自由以外の平等原則等の各論的研究に移行することにしたい。

次年度使用額が生じた理由

当初平成28年度に計画していた、アメリカ合衆国等に渡航して熟議民主政や違憲審査制に関する資料を調査・収集することができず、旅費の出費が計画より少なくなったことが理由である。

次年度使用額の使用計画

平成29年度は、アメリカ合衆国やオーストラリア等の熟議民主政や違憲審査制に関する研究の進んだ国における文献の購入や渡航しての調査を行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 市役所前広場における集会の自由2017

    • 著者名/発表者名
      平地秀哉
    • 雑誌名

      新・判例解説Watch

      巻: 20 ページ: 31-34

  • [雑誌論文] 「公共空間」と憲法理論2016

    • 著者名/発表者名
      平地秀哉
    • 雑誌名

      法学セミナー

      巻: 742 ページ: 38-42

    • 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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