研究課題/領域番号 |
16K03299
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
平地 秀哉 國學院大學, 法学部, 教授 (70339662)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 憲法学 / 平等原則 / 熟議民主政 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究目的のうち、①熟議民主政における市民参加の実践的状況と、②憲法上の平等原則の解釈のあり方、及び③熟議民主政論についての最先端の議論状況についての研究を行った。 まず、①については、熟議民主政論の理論面・実践面について、アメリカ合衆国サンディエゴ市において調査を行った。具体的には、サンディエゴ州立大学図書館及びサンディエゴ市立図書館において、熟議民主政論の理論面に関する資料の調査と、カリフォルニア州及びサンディエゴ市における立法・政策立案に関する公的文書を収集・閲覧し、市民参加の状況などの熟議民主政実現に向けた実践的状況について調査した。とりわけ市立図書館には膨大な公的文書が保存されており、様々な政策分野に関する実践的状況についての資料にあたることができた。 ②については、日本の最高裁判所における憲法上の平等原則に関する最近の判例の展開について研究を行った。その結果、近時の最高裁判決には従来の立法目的の重要性と立法目的達成手段との関連性を問う違憲審査の手法とは異なり、諸事情の総合考慮による手法が見て取れること、審査を厳格化する特定の事情が考慮されていることなどが解明された。 ③については、本年度は、オックスフォード大学出版局より「The Oxford Handbook of Deliberative Democracy」が、ケンブリッジ大学出版局より「The Cambridge Handbook of Deliberative Constitutionalism」が出版された。それぞれ約900頁、400頁の大部にわたる資料であるが、世界的に著名な熟議民主政論者たちによる最新の研究成果がまとめられており、本研究の遂行にとって欠かすことのできない資料であるので、これらの資料を購入し、読解に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
近年、熟議民主政に関する世界的な理論的発展・実践的拡大が顕著になっていることから、研究に際して調査の対象とすべき事項が非常に増大し、研究成果をまとめることが困難となっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究を遅延させる一因になっているとはいえ、大局的に見れば、熟議民主政に関する理論的・実践的拡大は本研究にとって望ましいことであると理解し、今一度理論面・実践面における現況を整理し、部分的・段階的にでも成果をまとめていく方針に切り替える予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 物品費に関しては、研究上不可欠な憲法学に関する文献数が当初の想定よりも少なかったため、支出額が計画に比して少額にとどまっている。また旅費に関しては、夏季長期休暇以外に日程を確保することが困難であったため、国内・海外において調査出張を実施することができず、支出額が計画に比して少額にとどまっている。 (使用計画) 次年度は、短期でも成果を収めることのできるようにできる限り複数の調査出張計画を策定する予定である。また旅費の支出状況に鑑み、計画的な図書資料購入を行う予定である。
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