研究課題/領域番号 |
16K03300
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
白水 隆 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (70635036)
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研究分担者 |
手塚 崇聡 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (30582621)
大林 啓吾 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (70453694)
富井 幸雄 首都大学東京, 法学政治学研究科, 教授 (90286922)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | カナダ憲法 / 生ける樹理論 / アメリカ憲法 / 憲法解釈方法 |
研究実績の概要 |
最終年度は、前年度までに積み上げてきた研究を踏まえ、アメリカ及びカナダにおける生ける樹理論に関連する議論の総括と、その日本への示唆という2つの観点から、研究計画通り、年に2回の研究会を行った。 まず、生ける樹理論の総括に関する研究会では、ブリティッシュ・コロンビア大学ロースクールのHoi Kong先生に報告を頂いた。同氏には、来日された機会を捉えて、主にカナダを中心に、生ける樹理論の最高裁による用いられ方、それに対する学説の対応、さらには意義及び問題点につき報告を頂き、議論を行った。特に、アメリカにおける原意主義との対比について議論が交わされ、それを通じて、原意主義の意義やその問題点が明らかになり、また、生ける樹理論が主権や法の支配といった基本的な理念に関わる重要な問題であることが明らかとなった。 次に、日本への示唆という点に関する研究会では、外部講師として、同じくブリティッシュ・コロンビア大学ロースクールの松井茂記先生をお招きし、生ける樹理論の我が国への適用可能性につき報告頂き、議論を行った。討議の中で、生ける樹理論を裁判所が用いる際の基準が不明確である点や、権力分立の観点から日本への導入には慎重であるべきとの見解、他方で、同理論がより憲法を柔軟に解釈する一助となり得る可能性から、我が国において適用可能性がある見解などが示された。 なお、研究計画に示したとおり、本研究を広く外部に公開するという趣旨から、上記両研究会にはアメリカ及びカナダ憲法を専攻する研究者にもご参加頂いた。 さらに、今年度は上記研究会の実施に加え、アメリカ及びカナダにおける調査も実施した。特に、現地の大学(ロースクール)の研究者へのヒアリングや資料収集を通じて、同理論が誕生した歴史的背景の認識やアメリカとカナダにおける同理論の捉え方の違いなどが浮き彫りになった。
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