研究課題/領域番号 |
16K03302
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
西田 幸介 法政大学, 法学部, 教授 (90368390)
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研究分担者 |
稲葉 馨 東北大学, 法学研究科, 教授 (10125502)
小泉 広子 桜美林大学, 総合科学系, 准教授 (40341573)
浜川 清 法政大学, 名誉教授 (80025163)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 法定抗告訴訟 / 無名抗告訴訟 / 規制不作為違法定式 / 国家倍書 / 当事者訴訟 / 民事訴訟 |
研究実績の概要 |
平成29年度においては、前年度からの研究を踏まえて、各構成員が研究を深めた。その成果については、紀要にて公表した。たとえば、西田幸介「法定抗告訴訟と無名抗告訴訟の選択基準――厚木基地第四次訴訟の最高裁判決を機縁として――」(法学志林115巻4号)、同「規制権限の不行使と国家賠償――『規制不作為違法定式』の判断構造――」(法学81巻6号)が、それである。前者は、本研究課題のなかでも、その中核となる抗告訴訟の再検討に関係するものであって、抗告訴訟の排他的管轄の内在的検討がされている。後者では、規制権限の不行使について国家賠償請求がされた場合に判例が用いる「帰省不作為違法定式」についての省察がなされており、これは本研究課題のうち市民生活に対する行政介入のあり方の変容に関係する。これらを通して、国家と社会の関係が現代的に変容している中での、行政救済のあるべき姿の輪郭を描くことができたと考えられる。ただし問題は、その内実をどのようにして形成するかにある。抗告訴訟については、当事者訴訟や民事訴訟との役割分担が改めて問われる。国家賠償については、損害を賠償するという視点だけでなく、行政が市民生活に介入しなかったことを法的にどのように評価するのか、抗告訴訟制度との関係を含めより考察を深める必要がある。 平成30年度は、このプロジェクトの最終年度となる。平成30年度末に、このプロジェクトの成果を世に問うべく、各構成員が論文を執筆しこれを一冊の研究書として公表することを目指している。平成29年度はこのための準備に充てられ、さほど多くの研究成果を得ることができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
専門家・行政実務家を対象としたヒアリングが十分に実施されていないからである。ヒアリングの対象者の選定に時間を要したことがその原因である。最終年度に向けて、研究計画の変更を要することとなろう。
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今後の研究の推進方策 |
当初、本研究課題のために専門家や行政実務家を対象とするヒアリングによって一定の知見を得ることを検討していた。しかし、ヒアリングの対象者の選定が上手くいかなかった。そこで、最終年度に向けて研究計画を一部変更し、ヒアリングを取り止め、文献調査を中心として、本研究課題に取り組むことにしたい。幸い、文献調査がある程度進んでおり、それを用いることによって、本研究課題の解明を果たすことは可能であると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた専門家や行政実務家を対象としたヒアリングが実施できなかったことが、次年度使用額が生じた理由である。この点は、別にも示したように、文献調査に変更することによって補うこととしている。この次年度使用額については、補充的に実施する文献調査のための費用として使用するほか、最終年度のみの使用を予定していた研究成果の印刷費用に不足が生じる可能性が高いので、これに当てることとしたい。
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