研究課題/領域番号 |
16K03308
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
野一色 直人 立命館大学, 経済学部, 教授 (20551865)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 消費税 / デジタル取引 / 登録国外事業者制度 / リバースチャージ方式 / 事業者向け電子通信利用役務の提供 |
研究実績の概要 |
デジタル経済(Digital Economy)に対応するために平成27年度税制改正において、消費税法上、新たに定義された「電気通信利用役務の提供」、また、消費税の性質上、消費税の徴収の観点から課題となる「実体なき仕入税額控除」を防止するため導入された登録国外事業者制度の意義・課題等について、整理を進めたところである。国外事業者から国内の消費者、消費者と事業者の双方に対するインターネット等を介した電気通信利用役務の提供,いわゆる“Business to Consumer”(B2C)を検討の対象とした。 特に、地理的に日本と類似性を有する英国における付加価値税制度において、日本のリバースチャージ制度等に類似する特色を有する英国のリバースチャージ制度や国外事業者の英国における登録制度を検討の対象としたところである。また、日本において、新しく導入されたリバースチャージ制度や登録国外事業者制度と英国における制度との比較・整理を通じて、登録国外事業者制度等の課題等に係る研究を行ったところである。 具体的な研究実績としては、「登録国外事業者制度の意義と課題‐日本と英国との比較を通して‐」(第494回日本税法学会関西地区研究会(2016年9月))との報告を行った。また、当該研究会における報告を基にし、国内外の資料を踏まえた上で、「登録国外事業者制度の意義と課題‐日本と英国との比較を通して‐」との論稿をまとめ、消費税法上の登録国外事業者制度の意義・課題を明らかにすることを試みたところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の対象とする課題である、①消費税における新たな内外差別の問題、②日本の地理的特性への考慮の問題、に関して、付加価値税の制度設計や議論をリードするOECDや欧州における付加価値税制度の一つである英国の付加価値税に係る制度の分析を進めたところである。特に、英国におけるデジタル経済に対応した付加価値税の課税・徴収制度の概要を整理したところである。特に、英国におけるリバースチャージ制度や国外事業者の登録制度の概要と日本の消費税法上のリバースチャージ制度と登録国外事業者制度の概要の比較を行った。 また、③の国外事業者が滞納した消費税を徴収する問題に関して、徴収共助に係る状況や法的課題に係る資料の収集・整理を進めたところである。
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今後の研究の推進方策 |
日本の地理的特性への考慮に関して、オーストラリアにおけるデジタルプロダクトに対する物品サービス税の改正法案(Exposure Draft Explanatory Material, Tax Laws Amendment(Tax Integrity: GST and Digital Products) Bill 2015)について、平成28年度に収集した文献等を踏まえ、オーストラリアにおける施行状況やオーストラリアにおける議論等の整理を進める。また、これらの整理を踏まえ、オーストラリアにおける新しい制度の成果及び残された課題を明らかにする。 さらに、国外事業者が滞納した消費税の徴収の問題に関して、英国やオーストラリアにおける議論や法的課題等については、租税条約上の徴収共助等に係る資料の収集・整理等を通じて、分析を進めることを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
書籍等の購入費用が、予想よりも低額であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度において、書籍の購入等、研究の遂行のための費用に充当することを予定している。
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