デジタル経済(Digital Economy)への消費税課税の枠組みに関して、令和元年度税制改正において、消費税法上、新たに創設された金等の密輸品に係る仕入税額控除の適用を制限する制度の意義・課題、また、国税通則法上、仮想通貨交換事業者やプラットフォーマー等の事業者に対して、取引顧客等の取引に係る情報提供の求めることのできる新たな調査権限や法的根拠の意義・課題に係る整理を行った。 さらに、デジタルプロダクトを提供する国外事業者等の滞納に関して、租税条約に基づく徴収共助に係る法的課題、デジタル経済に対応するための地方税の課税に係る制度や関連する消費税法の改正内容について、新たな法的課題等に係る研究を行った。 具体的な研究業績として、デジタル経済への対応に係る地方税法上の課題等の整理である論稿(「地方税に係る最近の争訟の概要と特色-行政不服審査会の答申を素材として‐」産大法学53巻2号(2019年))を公表した。また、新たな調査権限や法的根拠の意義・課題に係る整理である論稿(「国税通則法上の新たな情報照会手続の意義と法的課題」税法学582号(2019年))を公表した。さらに、国外事業者等が滞納した消費税の徴収等の徴収上の問題について、徴収共助の前提とされる情報交換の法的問題に関する論稿(「税務上の国際的情報交換に係る法的課題」国際商取引学会年報21号(2019年))、さらに、徴収共助の租税条約等の解釈に係る法的問題に関する論稿(「外国からの徴収共助の要請に係る法的課題」産大法学54巻1号(2020年))を公表した。 加えて、国内取引における「実体なき仕入税額控除」を防止するための仕入税額控除の制限に係る新たな規定の整理や当該規定の課題等に係る論稿(「消費税法30条11項等に係る仕入税額控除の制限をめぐる法的課題」税大ジャーナル31号(2020年))を公表する予定である。
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