2012年の安倍政権再登場以降、「世界で一番企業が活躍しやすい国」、「世界で最もイノベーションに適した国」づくりがめざされてきた。ことに2018年以降、「Society 5.0の実現に向けたイノベーションエコシステムの構築」(閣議決定、2018年2月20日)に始まり、中教審答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」(2018年11月26日)、「統合イノベーション戦略2019」(閣議決定、2019年6月21日)、「骨太方針2019」(閣議決定、2019年6月21日)、科学技術基本法に基づき1996年から5年ごとに策定されている科学技術基本計画の「第6期」(2021~25年度対象)の策定作業(現在は「第5期」〔2016~20年度対象〕が稼働中)、2020年度の通常国会に上程中の科学技術基本法の改正案(第1条の目的規定に「イノベーションの創出」の導入と「人文科学のみに係る科学技術」を追加、「研究開発法人・大学等」への「責務」規定の導入)など、科学技術・イノベーション戦略、大学改革に関して重要な決定が目白押しになされてきた。 最終年度は、主としてこれらの国家政策の検討を進めるとともに、これらと従来検討してきた大学への国家関与のシステム・法的構造との関係を明らかにし、併せて、2020年3月30日公表の文科省・内閣府・国大協「国立大学ガバナンスコード」(2020年3月30日)をも検討対象とすることによって、わが国の学問の自由・大学の自治の現状・実体の一端を明らかにすることができた。
|