わが国の組織再編税制は、急速にアメリカの税制に近づきつつあるとの評価がある〔金子宏『租税法〔第23版〕』弘文堂490頁(2019)参照〕。しかし、本研究成果は、EU合併租税指令のアイデアがアメリカ法とは異なる選択肢を提供できる可能性を示しつつ、かつ、国際的組織再編税制の今後の方向性には、その発展過程において、段階ないしレベルが存在することも示している。 従って、本研究成果は、わが国の組織再編税制の国際的側面に関するさらなる議論のきっかけを与えるという学術的意義があると同時に、将来的にはわが国の国際的組織再編成の増加を通じた対日直接投資の増加につながるという社会的意義もあると考える。
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