ドイツ・EU基本権論を比較対象に、日本の最高裁判所の判例に現れた家族制度に関する法的問題を取り上げて、親子関係と夫婦関係の区別の可能性、市民を統合する法的仕組みとしての家族法制の在り方、生殖補助医療技術の進歩に伴う「子の福祉」とは何か、性同一性障害者の性別変更の特例に関する法律の問題およびダイバシティ―社会における婚姻制度の在り方を検討した。 特に非嫡出子相続分差別や夫婦同姓における平等原則からの憲法問題、同性婚を容認し始めた欧州諸国の憲法上の正当化理由、性同一性障害者に対する性別変更の可否をめぐる憲法問題から、「個人の尊重」原理が家族制度を規律する際の基底的原理となることが明らかになった。
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