私人の権利の保護といった観点から研究されることの多い外国判決の承認執行制度を世界的統一という観点から分析することで、制度の国際司法共助としての性質を明確にし、制度の前提として各国裁判制度間の相互互換性が重要であることを明らかにした点は学術的意義を有する。また、他国の裁判制度が日本の裁判制度と相互互換的でない場合(他国において裁判官の独立・公平が確保されていない場合等)に判決の相互承認制度の基礎的前提が欠如することを確認した点は、現在の国際環境下での外国判決の承認執行に関する日本法の解釈等の実務的検討における重要な考慮要素の指摘であり、社会的意義を有すると考えられる。
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