国連平和維持活動(PKO)およびその要員の違法行為に対する国際責任の追及は、それらが享有する裁判権免除により制約されていることが問題となっている。違法行為の実行主体およびその内容に着目して検討を行ったところ、いずれの裁判権免除も活動の自律性を確保するために不可欠であるが、例えば、裁判や救済を受ける権利の観点から国連が代替的救済手続を設け、また、要員の一定の犯罪行為に対して裁判権免除が放棄され、懲戒および訴追される実行など、限定的ながら、国際責任を引き受ける方向性があることが確認できた。こうした諸実行がいかなる展開をするか注視する必要がある。
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