研究実績の概要 |
International Law AssociationのCommittee on Sustainable Development and the Green Economy in International Trade Lawの会議が2019年5月にソウル、2020年1月にロンドンで開催され、同委員会の研究成果報告書の作成にあたって国際環境法とWTO法の調和に関する報告書草案(英文)を提出した。また、同委員会および延世大学が主催したClimate Change, Sustainable Development, and International Trade Law Conferenceで、国境炭素税調整のWTO法上の問題点を扱った報告(英語)を行った。さらに、他の科研研究課題(基盤A 16H01982)とも関連しているが、2019年10月にユトレヒト大学における安全保障と輸出管理に関するシンポジウムで、安全保障例外に関するWTO判例を分析し貿易価値と国家安全保障の調整の問題について報告(英語)した。12月には、経済産業省の研究会で、人の健康に関するWTO判例として韓国-日本産水産物等の輸入規制上級委員会報告を評釈する報告を行った。また、大阪税関との共同研究の成果として自由貿易協定(FTA)などの地域貿易協定の増加に伴い生じている国際貿易法のフラグメンテーションが提起する問題としてFTA特恵原産地規則の国際的調和について論文を発表した。国際経済法および国際法のそれぞれの教科書の改訂を行い、「貿易と環境」などの情報を刷新した。 総じて、いずれの研究成果もWTO司法機関がWTO法の解釈を通じて貿易価値と非貿易価値の調整をいかに行おうとしているかの分析を試みたものであるが、研究最終年度であるにもかかわらず全体を総合的に検討する時間的余裕がなく、いわば各論的研究にとどまった。
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