研究課題/領域番号 |
16K03336
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白石 忠志 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (30196604)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 競争法 / 独占禁止法 / 独禁法 / 競争政策 |
研究実績の概要 |
平成29年度の研究実績の概要は、以下の通りである。 「(A) インターネット社会を素材とした競争法のフロンティア探究」については、アマゾンジャパンの同等性条項をめぐって研究を進めた。また、(B)の問題がインターネットとの関係で議論されるようになったため、(B)の成果は(A)の成果としての意味合いも持つに至っている。 「(B) 先端的な問題事象を素材とした単独行為規制の体系の構築」については、搾取型濫用規制(日本における優越的地位濫用規制)について、規制の要否に関する過去からの論争をまとめ、シェアリングエコノミーによる高価格設定や情報プラットフォームによる個人データプロファイリングなどの濫用行為を視野に入れた英語論文(査読あり)を公表した。 「(C) 裁判所における競争法規範の形成過程の研究」については、いくつかの命令取消請求事件や民事差止請求事件について資料閲覧等を行い、現在進行中の論点の抽出・検討を行った。 「(D) ネットワーク産業の取引実態における問題事象の発掘」については、クレジットカード分野における競争法問題につき、平成28年度の台湾公平交易委員会主催国際シンポジウムにおける報告をベースとして、American Express最高裁判決を控えた米国競争法専門家との意見交換を行った。 「(E) 競争法(特に日本独禁法)をわかりやすく伝える手法の研究」については、『独禁法事例集』および『独禁法講義 第8版』の出版を機に、種々の基礎的研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5点のいずれについても、現実の法現象が予想通りの速度で進行しており、計画の前倒しや後回しの必要はなかった。所属大学のイベントで有力な外国専門家が複数来日し、また、外国での国際的な会合に出席することができたため、外国の研究者・実務家との意見交換も十分に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の申請書に平成30年度として書いた通りに進行できるよう努める。(B)の論文について、外国での学会において発表する。(C)については、更に情報収集を進め、判決等があった場合には詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
外国研究者との交流に必要な旅費等とするために得ていた助成金につき、平成29年度については幸い、各外国大学のご厚意等により支出する必要がなくなった。したがって、平成30年度について、これまでに訪れていなかった外国学会への参加等を加味した調査研究を計画している。
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