研究課題/領域番号 |
16K03336
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
白石 忠志 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (30196604)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 競争法 / 独占禁止法 / 独禁法 / 競争政策 |
研究実績の概要 |
5つの小課題ごとに、次のように進行している。 「(A) インターネット社会を素材とした競争法のフロンティア探究」については、Google、Amazon、Facebook、Airbnbなどに関する諸事例を踏まえ、競争法の根本的考え方に関する検討を深めた。また、このような問題が国際的な法適用の問題を引き起こすことを念頭に置いて、英語による国際学会発表(招待)を行った。 「(B) 先端的な問題事象を素材とした単独行為規制の体系の構築」については、特に、「人材と競争」をめぐる考察を深め、論文を刊行した。「人材と競争」をめぐっては、十分な整理がされないまま、既存の考え方を変更する政策的決定が行われているため、これを法的に的確に位置付けて揺るぎのない議論とする必要が生じている。本研究は、それに寄与することができたと考えている。また、搾取型濫用規制について前年度に刊行した英語論文を、日本法に即して日本語で発信する論文を刊行した。この問題について、英語による国際学会発表を行った。さらに、ニューヨークにおける国際学会に出席し、多様な専門家との意見交換を行った。 「(C) 裁判所における競争法規範の形成過程の研究」については、いくつかの取消請求訴訟や民事訴訟について裁判所における閲覧等の調査を進行させ、知られていない論点の発掘等に努めた。 「(D) ネットワーク産業の取引実態における問題事象の発掘」については、ネットワーク効果が重要な意味を持つインターネットビジネス全般に関する理解を深めた。 「(E) 競争法(特に日本独禁法)をわかりやすく伝える手法の研究」は、基礎的研究を進め、『独禁法講義』の次の版の刊行準備に役立てた。さらに、学生が競争法の先端に触れる経験を提供することによって、どのような提示の仕方が効果的であるかを多角的に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5点のいずれについても、おおむね順調に進展した。研究期間を1年延長したのは、関係する専門家と重点的な意見交換をする機会を次年度において得られることとなったことに配慮したものであり、計画が必要以上に遅れたためではない。
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今後の研究の推進方策 |
期間を延長して行うこととした米国と欧州の専門家との意見交換を行い、既に行った研究成果の点検を行い、必要に応じてそれを修正・発展させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年4月にシカゴにおいて、また、2019年9月以降のいずれかの時期に東京において、それぞれ、インターネットと競争法にまつわる最新状況に照らしながら「既存の他者排除行為規制の体系と搾取型濫用行為規制の体系との融合・再構成」に関する精緻なコメントを外国人専門家からご提供いただける見込みとなったため。 シカゴへの渡航費用、これらの専門家との意見交換の準備のための資料代、情報整理をするための機器代、などに充てる計画である。
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