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最終年度にあたる本年度は、事業型施策に関する法的分析枠組みを構築する観点から検討を進めた。医療・介護サービスを受ける利用者の集合的な利益という観点から、わが国における医療介護保障法制の展開を検討するとともに、アメリカ、イギリスの制度について再検討を進めた。
アメリカについては、医療分野におけるサービス供給組織の統合化という最近の動きを踏まえて検討を進めた結果、反トラスト法の適用事例において効率性概念を媒介にして集合的な利益として医療の質や医療へのアクセスについて一定の評価が行われていることを明らかにした。また、イギリスの法制においては、主として病院の合併事件や公共調達の違法性が争われた事件において「患者の利益」概念をもとに集合的な利益間の調整が行われていることを明らかにした。
以上の検討をふまえ、今年度後半はサービスへのアクセス、サービスの質、サービス供給に係る費用の効率化という観点から、諸利益の内容と施策相互の調整のあり方についての検討を進めた。その結果、医療介護保障における事業型施策の分析枠組みの構築に向けて一定の見通しを立てることが可能となった。また今後の課題として、近年における公衆衛生施策の変容を踏まえ、医療介護保障と公衆衛生施策との相互作用という観点から検討する必要性が明らかとなった。
研究実績として、上記の観点からわが国の介護保険事業計画の策定過程を分析した論文1本を公表するとともに、アメリカの医療保障に関する共同研究をおこない、報告書を作成した。
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