本年度は、課徴金制度および課徴金減免制度について、わが国およびEU、米国について引き続き文献の収集、ヒアリングを進め、その研究成果を公表した。とくに、単独行為規制におけるエンフォースメントのあり方に関する基礎的な考え方を検討し、研究成果として公表した(「独占禁止法における法形成とエンフォースメントのあり方」法学志林116巻第2=3号合併号85頁)。また、「景表法の実現方法の多様性―独禁法の視点から」法律時報90巻11号77頁(2018)を公表する等した。また、デジタル・プラットフォームのエンフォースメントに係る学会等での報告を行った。 本課題では、課徴金制度および課徴金減免制度について、「課徴金制度のあり方について」、「課徴金減免制度の効果の検討」で公表し、その課題を明らかにした。さらに、違法行為を認定せずに問題の解消を事業者と競争当局とで約束する確約手続の研究を進め、欧米の制度と日本の制度を比較研究する「確約手続の導入についてーEU・米国等の諸制度を比較して」公表し、さらに独占禁止法および景品表示法のエンフォースメント多様性とその課題を研究し、日本経済法学会のシンポジウム「独占禁止法のエンフォースメント」においてパネリストとして発表し、引き続き検討を加えたものを上記のように法学志林等に掲載した(各年度の実績報告書参照。以下同じ)。 国際カルテルについて、国際経済法学会年報、NBL、ジュリストに論文を掲載した。 エンフォースメントについては、さらに、プラットフォームに係るエンフォースメントの問題に注目し、3省庁のデジタル・プラットフォームの環境整備に係る座長として多様な研究者のほか政府関係者と検討し、前掲の法学志林のほか、「デジタル・プラットフォームのルール整備と競争政策」公正取引821頁3-12頁(2019)として成果を公表した。 以上により研究期間において当初の計画をやや上回るレベルで検討を進めることができた。
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