研究課題/領域番号 |
16K03348
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
早川 智津子 佐賀大学, 経済学部, 教授 (90451492)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 労働法 / 外国人労働者 |
研究実績の概要 |
本研究は、地域経済統合・連携下での外国人労働法制について、とくにイギリスの外国人労働者受入れに係る労働法規制及び関連するEU法の規制について、労働政策及び移民関連の政策の研究を行うものである。 平成29年度においては、平成28年度に引き続き、資料・情報収集に努めたほか、日本及び各国で外国人労働者に関する議論が高まるなかで、関連する制度について検討を行った。具体的には、外国法文献データベースを活用しつつ、イギリス法等に関する資料収集を行い、国内で開催されたドイツの外国人労働者受入れのセミナーに出席し、ドイツにおけるEU域内・域外労働者の動向についての情報収集を行うなど、各国事情の把握に努めた。 イギリスは、2016年のEU離脱の国民投票以降、EU域内労働者の取扱いをめぐって離脱後の動向が注目されているところであるが、こうした離脱後の状況についてはイギリスとEUの交渉の経緯をみていかなければならず、平成29年度においてはなお不透明な状況に置かれていたといえる。他方、EU離脱の国民投票において、移民問題(とくに東欧諸国からの労働者の流入)が焦点となったことが明らかになった。また、地域統合への解消への対応という新たな問題が生じつつあるといえる。 本研究の意義は、地域経済統合・連携下での外国人労働法制について、EUないしイギリスを事例として、その統合を図るうえでの課題や問題点(たとえば、政策の失敗による分断の問題など)を含めて明らかにしていくことにあり、これまでの検討により、研究の重要性を改めて認識することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ概ね順調に進展している。ただし、計画当初予期していなかった、イギリスでのEU離脱の国民投票やイギリス政府の離脱表明の方向が決まったばかりであり、情勢をみつつ研究を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の平成28年度・29年度の研究成果を踏まえ、平成30年度は、引き続き、国内外での資料・情報収集を行うほか、イギリスでの現地調査等の調査研究や、国際学会の参加を通じて、同国の外国人労働者の動向について検討を深めるとともに、外国人労働法制に係るその他の諸外国や日本の動向も併せて検討するなかで、最終年度以降、研究成果を公表していきたい。 なお、計画当初想定していなかったイギリスのEU離脱問題については、同国とEUとの交渉の行方を始め、EUないしEU諸国の動向を踏まえて検討していくこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度においては、移民問題をめぐってのEU離脱交渉の進捗に目覚ましいものが見られなかったこと、平成30年度においてイギリスの現地調査及び国際学会出席を予定していることから、翌年度に必要経費が大きくなることが見込まれることから、本研究の遂行のための適正な予算配分を行うため次年度使用額が生じることとなった。
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