高齢化社会の日本では、終末期の医療・ケアが問題となっており、安楽死・尊厳死・治療中止の問題も重要性を増している。判例は、積極的安楽死を許容しているが、実際に認められた例はなく、治療中止を許容する判例が出されたが、詳細は、将来のガイドラインや立法に任されている。諸外国では、医療臨死介助を合法化する法域が増えており、近時、アメリカ合衆国の諸州、カナダ、オーストラリアのヴィクトリア州などで合法化がなされている。日本で、近い将来に医療臨死介助が合法化される可能性は少ないが、立法するとすれば、比較法的知見が有益である。特に、カナダの例は、司法と立法の協働にとって重要な示唆を含んでいる。
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