| 研究課題/領域番号 |
16K03363
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| 研究機関 | 名古屋大学 |
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研究代表者 |
古川 伸彦 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (00334293)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 業務上過失致死傷罪 / 重過失致死傷罪 / 過失運転致死傷罪 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、交通事故の抑止のために交通犯罪関連法令の改正が積み重ねられてきたものの、今なお交通事故の発生状況が「世界有数」のレベルにあるわが国の社会状況と、根本的・包括的な交通刑法の理論枠組みを構築する必要性が喫緊の課題となっている学問状況を踏まえて、具体的には「過失運転」、「危険運転」、「ひき逃げ」といった事案類型について、また自動車事故以外の交通事故についても、交通犯罪の処罰とその抑止を図るための刑事法制の在り方に係る基礎理論の研究を行い、もって上記課題に応えうる基本構想を提示することを目的とするものである。平成30年度は、自動車以外の交通（鉄道、船舶等）における事故とその刑事的対応について、2019年度に計画していた自動車事故以外の検討も、部分的に前倒しして行った。具体的には、交通における事故リスクに対する備えが刑法的に要請される限界如何という争点が顕在化した、注目すべき判例・裁判例を取り上げ、その研究の成果を論文に著した。その過程で、さらなる検討課題の発掘に成功した。それは、刑事過失の標準にかかる立論が、判例と学説でかなりな乖離を起こしている疑いがあることと、過失不作為犯の認定についての犯罪論的な枠組みが、実務上相当混乱している疑いがあることである。前者は、結果発生の予見可能性についての適正な争点形成に関わる重大な問題であり、近年の判例を素材として、そうした乖離を克服する必要性と方向性を提案する内容の論文を、すでに発表した。後者は、同様に近年の判例を素材として、注意義務の正しい理解を訴える論文を発表する準備を始めた。他方で、自動車事故に関しては、近い将来に実現が期待される自動運転車との関係で多くの検討課題があり、それらが2019年度の日本刑法学会の共同研究テーマの1つに採択されたが、その共同研究者の1人に選ばれたため、本研究の成果を応用して学会発表を行う準備をした。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検討作業の対象は、研究計画に沿って進行している。研究成果の一部は、論文等の形で公表している。
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| 今後の研究の推進方策 |
１ 個別課題の検討
悪質運転者と交通事故の刑法学的検討（あおり運転等）。自動車事故以外をも想定した交通犯罪の検討（自転車事故等）。自動運転車の実現を想定した死傷事故と刑責問題の検討。成果は論文等の形で著すか、学会等発表の方法で公表する。
２ 研究全体の総括
本研究の成果全体を取り込む形で、刑法の注釈書の分担執筆を行う（西田典之ほか編、注釈刑法・第3巻、有斐閣、刑法209条～211条等の分担執筆）。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
今年度に刊行が予定され、購入を計画していたドイツの刑法学注釈書シリーズの一部が刊行延期となったため、その支払いに充てる見込みだった分、次年度使用額が生じた。当該書籍が刊行され次第、その購入のために使用する計画である。
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