裁判員制度の導入によって証人尋問中心の裁判が実現されたといわれているが、捜査段階での被告人にとって不利益な供述こそが真実であり、公判はその真実を解明するのに適した場所ではないという根本的な考え方は変わっていないため、実際には、形ばかりは証人尋問という手続でありながらも、その実際の効果を妨げ、いかにして捜査段階の供述をそのまま再現させてそのまま有罪証拠とするかを追及するかのような、歪められた議論が行われている。本研究は、そのような考え方そのものが憲法の趣旨に反することを指摘し、公正な審理を実現させるために本当に必要なことは何かということを明らかにしたものである。
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