• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

イギリスにおける秘密保護に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K03369
研究機関熊本大学

研究代表者

澁谷 洋平  熊本大学, 法学部, 准教授 (20380991)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード秘密保護 / イギリス法 / 守秘義務
研究実績の概要

本研究の計画では、平成28年4月から平成29年6月の15か月間を第1期研究として、イギリスにおける医師の守秘義務に係る法制度、法状況の調査に充てることとしていた。
かかる研究計画に基づき、平成28年度は、まず、J.K.Mason et al.,Law and Medical Ethics, J.Herring, Medical Lawをはじめとするイギリスの医事法及び刑事法の代表的なテキストを精読し、イギリスの法制度を調査した。その結果、秘密保護に関する法(Law of Confidentiality)の法源は、「衡平(Equity)」、「コモン・ロー」、「1988年人権法」その他の制定法から「General Medical Councilの指針」に至るまで広範多岐に渡り、これに対応する法的効果も、インジャンクション、損害賠償、刑罰、医業停止と多様なものであることが確認された。
また、「患者の嗜好」や「医療機関受診の事実」が保護すべき秘密に当たるかなどが争われた事案(Campbell v MGN[2004]UKHL 22)、「秘密の公表」と「表現の自由」との衝突が争われた事案(Mosley v News Group Newspapers[2008]EWHC 687)、機密情報が欧州人権条約8条にいう「私生活を尊重される権利」に含まれるとの理解を示した事案(Z v Finland(1988)EHRR 371)など、上記各法領域における諸判例についても調査を行った。
平成29年3月末日時点ではなお第1期研究を継続中であるが、イギリスの法制度、及び医師の守秘義務違反が問題となった多数の事案を俯瞰する限り、大部分は刑事法以外の法領域に係るものであることが把握された。この点、今後の研究において秘密保護に関する刑事法の意義と限界を考えていく上で、一定の視点、示唆が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

平成28年4月14日、16日に発生した一連の熊本地震の影響により、同年8月頃まで十分な研究時間を確保することができなかったため、第1期研究の進捗が予定よりかなり遅れている。

今後の研究の推進方策

当初、第1期研究期間を平成28年4月から平成29年6月までの15か月としていたが、5か月間の遅れが生じたことから、第1期研究期間を平成29年9月まで3か月間延長した上で、調査対象としていた図書、文献、判例等をより精選して研究の遅れを取り戻したい。

次年度使用額が生じた理由

平成28年4月14日及び16日に発生した一連の熊本地震の影響により、第1期研究の開始が大幅に遅れ、当初予定していた図書・文献調査が進まなかったことから、物品費を十分に執行することができなかった。

次年度使用額の使用計画

平成29年度は、第1期研究期間を3か月間延長し、同年9月まで図書・文献調査を継続することとしたため、必要な図書・文献の購入、資料収集のための出張など、平成28年度から繰り越した助成金を適切に執行することが可能である上、海外調査1を予定通り実施する予定であるため、平成29年度分として請求した助成金も同様に適切に執行することができると見込んでいる。

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi