本研究では、イギリスにおける医師の守秘義務に関する法的規制の現状について、法源と法的効果、保護対象となる秘密の意義・内容、守秘義務の射程範囲と限界を中心に調査・分析を行った。 そして、医師と患者との信頼関係と右義務の履行による公共的利益の実現を基盤とし、エクイティやコモン・ロー上の不法行為など、損害賠償を効果とする民事法が大多数であること、保護対象となる秘密は利用価値のある個人的情報を幅広く含むと解されていること、患者の同意がある場合や機密性が失われた場合のほか、各制定法により第三者提供が許容されているものの、その根拠及び限界、利益衡量の方法などの困難な課題が存在していることが判明した。
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