研究課題/領域番号 |
16K03371
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
三島 聡 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (60281268)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 警察 / 録音・録画 / 透明性 |
研究実績の概要 |
2016年度は研究期間の1年目ということで、当初、論文作成の前提となる文献収集、問題点の整理の作業をおこなうつもりであったが、研究を精力的に進め、アメリカ合衆国におけるbody-worn camera普及の背景、その利点および課題、その導入の効果に関する実証的研究の動向などを盛りこんだ論稿(「録音・録画技術と警察活動の透明化――警察官装着カメラをめぐって」浅田和茂先生古稀祝賀論文集下巻159~189頁〔成文堂、2016年〕)を作成し公表した。また、制度導入・運用の実態を調査するため、ワシントンDCとニューヨークの関係機関を訪ね、聴き取り調査をおこなった。 それとともに、情報化時代における警察活動の典型ともいうべきGPS捜査について透明性が十分確保できるような制度設計にしなければならないことを説く論稿(「GPS装置による動静監視の解釈論的検討」季刊刑事弁護89号116~122頁〔2017年〕)を書いたり、取調べの録音・録画制度や傍受対象の通信を電子計算機に伝送したうえで捜査機関が視聴する通信傍受の制度を含む2016年改正刑事訴訟法の注釈書(川崎英明=三島聡=渕野貴生編『2016年改正刑事訴訟法・通信傍受法条文解析』〔日本評論社、2017年〕)を編集し、改正通信傍受法の解説や全体のまとめの論稿を執筆するなど、本研究テーマに関わる研究を精力的におこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」の欄に記載したように、2017年度以降に予定していたbody-worn cameraに関する包括的な研究論文を2016年度に作成・公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
諸外国ではbody-worn cameraの普及が一層進み、それにともなって研究も日々進展していることから、その動向の把握に努め、2016年度の論稿で不足している部分を見定めて検討を進める。 それとともに、GPS捜査に関する最高裁判決(最大判2017・3・15)について論稿を作成し、また、取調べの録音・録画がなされた個別事件について取調べのあり方を具体的に検討するなど、body-worn cameraにかぎらず、「情報化」社会の警察活動の透明性に関する諸問題について研究を進めていく予定である。
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