研究課題/領域番号 |
16K03372
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
笹倉 宏紀 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (00313057)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 弁護士・依頼者間秘匿特権 / 法令遵守 |
研究実績の概要 |
令和元年独禁法改正に伴い,独禁法違反事件に係る行政調査手続において,2020年12月25日から,「弁護士・依頼者間秘匿特権」に類似する保護を一定程度実現する「判別手続」の運用が開始された。そこで,2021年度においては,同制度について公取委が示した運用の手順・基準や同制度をめぐって公表された企業法務関係の文献の分析・検討を進めるとともに,同制度運用の前提となり,また,同制度により促進されることが想定されている企業の法令遵守の在り方について,関係諸分野の研究者と法律実務家により組織された「企業犯罪研究会」に継続して参加したほか,関係する学術集会・シンポジウムに参加し,関係する情報の収集と意見の交換を行った。 さらに,研究開始時点ではまったく予期していなかったことであるが,2021年3月に法務省に設置され,2022年3月まで継続した「刑事手続における情報通信技術の活用に関する検討会」に参画することになり,外部交通のオンライン化の可能性という観点からではあるが,本研究によってこれまでに得られた知見を踏まえつつ,接見交通権の意義・機能について再考しそれに基づく意見を述べるとともに,他の研究者や実務家との議論を通じて自らの思考を反省・吟味することができた。 なお,文献調査等で生じた不明点を解消すること等を目的としてかねて計画していた海外調査は,新型コロナウイルス感染症の影響により,2021年度中においても,残念ながら,実現することができなかった。そのため,研究成果のとりまとめにはなお時間を要することから,研究期間を延長する手続をとった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」に記載したとおり,海外調査を実施できていないため,研究成果をとりまとめるに至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症をめぐる状況,海外渡航をめぐる環境が,次第に改善しつつあることから2022年度中に実施したい。併せて,公取委の「判別手続」の運用についても事例の集積が期待されるので,可能であれば,その検討も試みたい。それらをもって研究成果のとりまとめの作業を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により海外渡航が困難であり海外調査を実施することができなかったことにより,「次年度使用額」が生じた。 本報告書執筆時点では同感染症をめぐる状況や海外渡航に関する諸環境がようやく改善しつつある。そこで,延期を重ねてきた海外調査の2022年度中の実施を期し,「次年度使用額」は主にそのための旅費に充当する。
|