本研究は、刑事法的な規制が十分になされていなかった日常的な迷惑行為を対象として、いかなる場合に刑事法的介入を行うことが必要かつ妥当であるのかという条件について探究することを目的とする。親密圏、特に家庭内において日常的に生じる迷惑行為を中心とした問題事情に対する刑事法的介入は、従来「法は家庭に入らず」として回避される傾向にあった。本研究においては、そうした問題領域を「犯罪の温床」としての家庭が持つ構造に由来するものとして分析しつつ、一定の解決を示した。また、それ以外の日常的な迷惑行為の刑事的規制についても、日常生活規制立法としての性質を持つことから、明確かつ限定的な規制が必要であることを示した。
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