研究課題/領域番号 |
16K03389
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高田 裕成 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (90126102)
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研究分担者 |
畑 瑞穂 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (00218471)
垣内 秀介 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (10282534)
松下 淳一 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (70190452)
菱田 雄郷 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (90292812)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 民事訴訟法 / 多数当事者訴訟 |
研究実績の概要 |
本研究は、わが国の多数当事者訴訟に関して、民法等関連する法制度の改正および比較法的な観点も踏まえた総合的な検討を加え、解釈論的・立法論的な成果を得ることを目的としている。かかる目的を達成するため、平成29年度は、研究実施計画に従い、国内外の情報を収集・整理し、検討を加えることで、以下のような成果を得た。 まず、総論的な研究として、①垣内「家事審判における手続保障」(後掲第2図書所収)と②菱田「多数当事者論の新動向」を公表した。①は、家事審判における当事者および利害関係人に対する手続保障に対して、ドイツ法との比較も踏まえた検討を加え、将来の課題を提示するものであり、②は、多数当事者訴訟全般についての近時の議論の特徴を明らかにするものである。 次に、各論的な研究として、③畑「債権法改正法案における詐害行為取消請求訴訟に係る確定判決の効力」、④垣内「任意的訴訟担当における授権をめぐって」、⑤菱田「訴訟告知の効力について」を公表した(③は後掲第1図書、④⑤は後掲第3図書所収)。③は、民法改正を踏まえ、詐害行為取消訴訟に係る確定判決のいかなる効力が債務者及び他の債務者にどのように及ぶかを整理するものであり、詐害行為取消訴訟に債務者や他の債権者が参加する際の参加形態を検討する際の基礎的な研究としての意義をもつ。④は、ドイツ法の状況も参照しつつ、任意的訴訟担当における授権を分析することを通じて、真正任意的訴訟担当と不真正任意的訴訟担当の2つの類型を抽出するもの、⑤は、訴訟告知による参加的効力の発生要件にかかる学説の対立の分析を通じて、要件の厳格化を提案するものである。なお、高田、松下、畑ほかの編集による後掲第3図書には他にも多数当事者訴訟に関する重要論文が掲載されていることを付言する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、国内の判例、学説、実務運用および諸外国の多数当事者訴訟についての情報を収集・整理した上で、全体としての整合性に留意しつつ多数当事者訴訟に係る具体的な問題点を検討することを予定していたが、これらの作業は概ね予定どおりに進めることができた。その結果として、個別の論点を深掘りする論文を3点公表するとともに、総論的な論文を2点公表し得た。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度までに得られた成果を基礎としつつ、わが国における実務運用、学説の展開、立法の動向に関して絶え間なく情報を収集するとともに、諸外国の多数当事者訴訟についてもより広い範囲での調査を遂行することで、問題状況を整理し、解釈論的・立法論的な提言につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)為替相場が安定しないことから様子を見ながら洋書を発注したこと、発注済みの洋書の発行が遅れたことにより、次年度に使用する予定の研究費が発生した。 (使用計画)次年度に使用する予定の研究費は、主として必要な文献の購入、とりわけ平成29年度中に購入を見送った洋書の購入に充てる予定である。
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