研究課題
本研究は、わが国の多数当事者訴訟に関して、民法等関連する法制度の改正および比較法的な観点も踏まえた総合的な検討を加え、解釈論的・立法論的な成果を得ることを目的としている。かかる目的を達成するため、平成30年度は、研究計画に従い、国内外の情報を収集・整理し、分析、検討を加えた結果、以下のような成果を得た。第1に、民法改正の多数当事者訴訟に対する影響に関して、①畑瑞穂ほか「民法(債権関係改正)と裁判実務」と②松下=加藤編『新基本法コンメンタール民事訴訟法1』(菱田執筆部分)を公表した。②は、従前の議論を整理し、分析を試みるものであり、①は、債権者代位訴訟における債務者等の参加形態、訴訟告知欠缺の法的効果、詐害行為取消訴訟において債務者等に拡張される判決効の法的性質等を多角的に検討するものである。第2に、裁判の効力の第三者への拡張に関して、③垣内「子の引渡しを命じる債務名義の執行力の主観的範囲」、④畑「非訟事件の裁判の効力について」、⑤垣内「執行官実務における占有認定をめぐるいくつかの問題」を公表した。③は、子の引渡しを命じる債務名義の執行力が子を事実上監護する第三者に対して拡張するか、という論点について、承継人概念、請求目的物の所持者概念の双方から検討するものであり、④は、非訟事件の裁判の第三者に対する通用力について、従前の学説・裁判例を踏まえた検討を加えるものである。⑤は、複数人が居住する建物における動産執行、共同占有下の建物明渡執行について、執行法上の占有概念の横断的分析を踏まえ検討するものである。第3に、消費者裁判手続特例法に関して、⑥菱田「消費者裁判手続特例法の定める共通義務確認訴訟の諸問題」の公表が確定した。⑥は、特定適格消費者団体の原告適格の法的性格、共通義務確認訴訟の訴訟物の理解、同訴訟の訴訟要件としての共通性の意義について検討を加えるものである。
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新民事執行実務
巻: 17巻 ページ: 15-25
民事訴訟雑誌
巻: 65号 ページ: 27-54
消費者法研究
巻: 特別号 ページ: -
法の支配
巻: 190巻 ページ: 5-48
法曹時報
巻: 70巻10号 ページ: 2621-2652