本年度は、昨年度に引き続き、国際的生殖補助医療(国際的代理出産を中心とする)をめぐる法的規律(生殖補助医療実施自体の規律およびそこから生まれた子の親子関係等の法的地位の規律)について、最新の文献を収集するとともに、各国の研究者と連絡を取りつつ、検討した。この問題に関する国際的な動向については、ハーグ国際私法会議の国際親子法(国際代理出産の法的規律を含む)に関するプロジェクト、及びInternational Social Service(ISS:国際社会事業団)の国際的生殖補助医療に関するプロジェクト等の動きを中心に、諸外国における最新の情報を入手することができた。とくに、2回の外国出張(ケンブリッジ大学主催の国際的代理懐胎に関する会議(英国・2019年6月)、上記ISSの国際的代理出産の原則に関するワーキンググループ会合(スイス 2019年9月)が、情報の入手・交換の機会としてきわめて有益であった。 本年度は、上記ケンブリッジ大学の会議の責任者であるScherpe教授を編者の1人として出版された(Eastern and Werstern Perspectives on Surrogacy)に、日本に関する論文を寄稿したほか、雑誌『法学』(東北大学)に国際的代理出産にかんする論文を寄稿した。また、北陸国際私法研究会において、国際的代理出産をテーマにして報告を行った。 本年度がこの研究の最終年度であったので、研究期間中にこのテーマについて発表した論文・学会報告を踏まえて、近日中に、これまでの研究成果を整理し今後を展望する論考を作成する予定である。
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