研究課題/領域番号 |
16K03397
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小林 道生 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (60334950)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 保険募集 / 保険募集規制 / 保険販売業務指令 |
研究実績の概要 |
ドイツでは、EUの保険販売業務指令を国内法化した保険契約法1a条が2017年に新設され、2018年2月に施行された。同条は、わが国との保険募集規制の比較法的考察を行ううえで重要な意義をもつ総則的規定と考えられるため、令和2年度は、保険契約法の主要なコンメンタールを対象にして、保険契約法1a条の規律内容について理解に努めることにした。 同条は、その1項で、「保険者は、保険販売業務にあたり、保険契約者に対して、つねに誠実、公正に、職業上、保険契約者の最善の利益を図るように行動しなければならない。」とし、さらに、保険販売業務に当たる行為について具体的に列挙しているが、とくに、そこで規定されている「誠実」、「公正」および「保険契約者の最善の利益を図る」ことの意義、また、従来からの信義則(民法242条)にもとづく要請との関係について明らかにすることが課題となった。 また、3項では、「保険者が保険契約者または見込保険契約者に向けた広告表示を含む販売業務に関するすべての情報は、公正および明確でなければならず、誤解を生じさせてはならない。」とされているが、1項の規律内容を含めて、すでに存在する保険者の情報提供義務、助言義務(保険契約法6条、7条)との関係はどのように整理されるのかという問題意識を持ちながら資料を読み進めた。 令和3年度は、以上の作業結果を踏まえて、わが国との比較法的考察(保険法制定時における法制審議会部会での議論を含む)を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ドイツでは、EUの保険販売業務指令を受けて2017年に保険契約法1a条が新設され、翌年2月に施行されるに至ったが、令和2年度中は、同条について解説する、保険契約法の主要なコンメンタールの最新版がまだ出揃っていなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
ドイツ保険契約法1a条について、まずは、現在入手できている資料をもとに、その規律内容を理解し、その作業結果を踏まえて、わが国との比較法的考察(保険法制定時における法制審議会部会での議論を含む)を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)海外では、ドイツへの出張を予定していたものの、コロナウィルスの影響により取り止めとせざるを得ず、また、国内出張もオンラインでの会議システムに切り替わったため、当初の計画通りに支出ができなくなったため。 (使用計画)コロナウィルスが収束し所属研究機関の許可が下りれば、複数回、ドイツへの出張を考えている。コロナウィルスが収束しない場合、支出予定であった旅費を図書費に充てることを考えている。
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